常務サマ。この恋、業務違反です
M-8 降伏せよ!
待ちに待った加瀬君からの連絡が来たのは、週明け月曜日のことだった。
業務中でも、引出しの中で携帯がバイブした音はちゃんと聞こえた。
直ぐに確認せず休憩時間まで我慢したのは、なんとなく……読んだ後冷静でいられるかどうかわからないって思ったからだ。
時計の針が正午を差すのを待って、私は一人オフィスビルを出た。
パン屋の横のカフェスペースの隅っこの席に座ってコーヒーを飲みながら、ドキドキする胸を軽く押さえて、私は妙にゆっくりメールを起動させた。
そしてその内容に、やっぱりと思いながら失望する。
『この件については一切他言を禁ずる。葛城はウェイカーズから撤退して、本業に復帰すること。
タイムリミットは五月末。これが部長からの業務命令』
少しも私の意志を汲んでもらえない業務命令に納得いかなかった。
すぐ加瀬君にメールを送ったけど、外出中なのか返事はなかなか戻って来ない。
休憩時間ギリギリまで待ってやっと届いたメールは、『話し合ってて思ったんだけどさ』と、なんだか憚るような一文から始まった。
『今回の調査って、本当は高遠さんが指示してるんじゃないか?』
直球の内容に、ドクンと胸が騒いだ。
『人事部長が独断でお前の情報を集める理由がわからない。
高遠さんの命令で調査してるって考えるのが一番納得行くんだけど』
更に鼓動は速くなる。
加瀬君の言い分は筋が通っているって、私にもわかってる。
業務中でも、引出しの中で携帯がバイブした音はちゃんと聞こえた。
直ぐに確認せず休憩時間まで我慢したのは、なんとなく……読んだ後冷静でいられるかどうかわからないって思ったからだ。
時計の針が正午を差すのを待って、私は一人オフィスビルを出た。
パン屋の横のカフェスペースの隅っこの席に座ってコーヒーを飲みながら、ドキドキする胸を軽く押さえて、私は妙にゆっくりメールを起動させた。
そしてその内容に、やっぱりと思いながら失望する。
『この件については一切他言を禁ずる。葛城はウェイカーズから撤退して、本業に復帰すること。
タイムリミットは五月末。これが部長からの業務命令』
少しも私の意志を汲んでもらえない業務命令に納得いかなかった。
すぐ加瀬君にメールを送ったけど、外出中なのか返事はなかなか戻って来ない。
休憩時間ギリギリまで待ってやっと届いたメールは、『話し合ってて思ったんだけどさ』と、なんだか憚るような一文から始まった。
『今回の調査って、本当は高遠さんが指示してるんじゃないか?』
直球の内容に、ドクンと胸が騒いだ。
『人事部長が独断でお前の情報を集める理由がわからない。
高遠さんの命令で調査してるって考えるのが一番納得行くんだけど』
更に鼓動は速くなる。
加瀬君の言い分は筋が通っているって、私にもわかってる。