常務サマ。この恋、業務違反です
高遠さんは私の視線など全く気にしていないように、反対側のソファに掛けてあった上着を羽織ってから、書類に埋もれたデスクに腰を下ろした。
そして、さすがに書類が邪魔なのか、眉間に皺を寄せて軽くどかしながら、パソコンを起動させる。
それを見て私はキュッと唇を引き締めて、高遠さんのデスクから書類の山を抱えてどかした。
「……片付け、続けます。新たにファイリングが必要な物があれば、指示して頂ければやります」
静かにそう言いながら、高遠さんのデスクの上の書類を全部応接セットのテーブルと私のデスクの上に移動させた。
高遠さんのデスクからは書類の山が消えて、高遠さんは黙って頬杖をついて私を見遣っていた。
「任せる」
そんな短い言葉が、『秘書』としての私に対する最初の『業務命令』。
まだ何もわからない私に、そんな言葉で任せていいのか。
はっきり指示してくれた方が私だってやりやすいのに。
それでも言い返さずに、はい、と答えた。
『任せる』って言葉は、自分にとってどうでもいいことだから言える一言かもしれない。
それでも私は、もっと違った意味で受け止めたくて、黙って書類整理を始めた。
仕事を任せてもらえるって……普通に嬉しいことだよね。
そして、さすがに書類が邪魔なのか、眉間に皺を寄せて軽くどかしながら、パソコンを起動させる。
それを見て私はキュッと唇を引き締めて、高遠さんのデスクから書類の山を抱えてどかした。
「……片付け、続けます。新たにファイリングが必要な物があれば、指示して頂ければやります」
静かにそう言いながら、高遠さんのデスクの上の書類を全部応接セットのテーブルと私のデスクの上に移動させた。
高遠さんのデスクからは書類の山が消えて、高遠さんは黙って頬杖をついて私を見遣っていた。
「任せる」
そんな短い言葉が、『秘書』としての私に対する最初の『業務命令』。
まだ何もわからない私に、そんな言葉で任せていいのか。
はっきり指示してくれた方が私だってやりやすいのに。
それでも言い返さずに、はい、と答えた。
『任せる』って言葉は、自分にとってどうでもいいことだから言える一言かもしれない。
それでも私は、もっと違った意味で受け止めたくて、黙って書類整理を始めた。
仕事を任せてもらえるって……普通に嬉しいことだよね。