常務サマ。この恋、業務違反です
「何それ。高校生じゃあるまいし」
「そうそう。あの高遠さん相手なんだから、壁ドンくらいされてきなさい」
「えっ、ちょっと……」
一気につまらなそうな顔をする二人に憤慨して、私の方が軽く身を乗り出した。
「そうまで言うなら! 二人は壁ドンされたことあるの? それこそ、思わずきゅうんとしちゃうような」
あんなこと実生活で実際にされたことがあるって人を、私は知らない。
面白がって加瀬君に聞いてみたら、どういうシチュエーションでやれって言うんだよ、と眉間に皺を寄せられた。
そして、二人の返事は案の定……。
「電車の中で、知らない禿げ頭のオジサンに」
「車掌さんの『ポイント通過の為電車が揺れます』ってアナウンスを聞いた後は要注意」
「胸キュンどころか、頭にまで鳥肌がたつよね」
そうそう、それが一般的なOLライフってもの!
うんうん、と頷いた私に、二人は一瞬顔を見合わせてから肩を落とした。
「はああ。ほんと、潤いないなあ……」
「でも、普通の生活って意味なら、穏やかなんだけどねえ……」
口々にそう言って自分の現状に満足しようとする二人を見ながら、私はなんとなく首を傾げた。
「って言うか……。新庄さんも山田さんも、高遠さんをどういう人だと思ってるんですか?」
私の繰り出した質問に、二人は顔を見合わせて小首を傾げた。
「なんか話を聞いてると、巷で流行りの『どSで野獣なイケメンエリート』って印象なんじゃないか、と」
そう言った私に返って来た答えは、
「そうじゃないの?」
そんな疑問形の言葉だった。
「そうそう。あの高遠さん相手なんだから、壁ドンくらいされてきなさい」
「えっ、ちょっと……」
一気につまらなそうな顔をする二人に憤慨して、私の方が軽く身を乗り出した。
「そうまで言うなら! 二人は壁ドンされたことあるの? それこそ、思わずきゅうんとしちゃうような」
あんなこと実生活で実際にされたことがあるって人を、私は知らない。
面白がって加瀬君に聞いてみたら、どういうシチュエーションでやれって言うんだよ、と眉間に皺を寄せられた。
そして、二人の返事は案の定……。
「電車の中で、知らない禿げ頭のオジサンに」
「車掌さんの『ポイント通過の為電車が揺れます』ってアナウンスを聞いた後は要注意」
「胸キュンどころか、頭にまで鳥肌がたつよね」
そうそう、それが一般的なOLライフってもの!
うんうん、と頷いた私に、二人は一瞬顔を見合わせてから肩を落とした。
「はああ。ほんと、潤いないなあ……」
「でも、普通の生活って意味なら、穏やかなんだけどねえ……」
口々にそう言って自分の現状に満足しようとする二人を見ながら、私はなんとなく首を傾げた。
「って言うか……。新庄さんも山田さんも、高遠さんをどういう人だと思ってるんですか?」
私の繰り出した質問に、二人は顔を見合わせて小首を傾げた。
「なんか話を聞いてると、巷で流行りの『どSで野獣なイケメンエリート』って印象なんじゃないか、と」
そう言った私に返って来た答えは、
「そうじゃないの?」
そんな疑問形の言葉だった。