常務サマ。この恋、業務違反です
そんなことだろうと思って、さっきのお店でサンドウィッチをテイクアウトしてきて正解だった。
ガサガサと紙袋を開けて、高遠さんは綺麗にラッピングされたサンドウィッチを中から取り出した。
「あ、美味そう」
素直な一言と共に、パクッと一口齧り付くその横顔を見遣ってから、私は部屋の隅に置いてあるポットに向かって歩いて行った。
インスタントコーヒーを二人分淹れてから、高遠さんのデスクの横に戻る。
そして、右手のカップを高遠さんの前に差し出す。
「何。気が利くね」
「お褒めに預かりまして。……私が飲みたかったので、ついでですけど」
「そ。あ。これ、いくらだった?」
「いいです。勝手な真似をしたのは私の方なので」
ただそれだけ言って、私も自分のカップを持ってデスクに戻った。
「そ? じゃ、遠慮なく。御馳走様」
カップに息を吹きかけてから一口啜って、サンドウィッチを頬張る高遠さんを見つめた。
奢ってもらう、どころか、奢ってるのは私の方だ、と言いたい。
だけど、こうでもしないと、この人は本当に一日中食事することを忘れて仕事をするってことを、私はこの一週間で嫌ってほど知ってしまった。
ただでさえ忙しくて、普通の人の何倍も働いているのに、放っておいたらいつかどこかで倒れてしまう。
それが気になって、ランチに行く前に必ず声を掛けるようにしていたのに、この人はいつも仕事に没頭して執務室から出ることすら忘れてしまうんだ。
ガサガサと紙袋を開けて、高遠さんは綺麗にラッピングされたサンドウィッチを中から取り出した。
「あ、美味そう」
素直な一言と共に、パクッと一口齧り付くその横顔を見遣ってから、私は部屋の隅に置いてあるポットに向かって歩いて行った。
インスタントコーヒーを二人分淹れてから、高遠さんのデスクの横に戻る。
そして、右手のカップを高遠さんの前に差し出す。
「何。気が利くね」
「お褒めに預かりまして。……私が飲みたかったので、ついでですけど」
「そ。あ。これ、いくらだった?」
「いいです。勝手な真似をしたのは私の方なので」
ただそれだけ言って、私も自分のカップを持ってデスクに戻った。
「そ? じゃ、遠慮なく。御馳走様」
カップに息を吹きかけてから一口啜って、サンドウィッチを頬張る高遠さんを見つめた。
奢ってもらう、どころか、奢ってるのは私の方だ、と言いたい。
だけど、こうでもしないと、この人は本当に一日中食事することを忘れて仕事をするってことを、私はこの一週間で嫌ってほど知ってしまった。
ただでさえ忙しくて、普通の人の何倍も働いているのに、放っておいたらいつかどこかで倒れてしまう。
それが気になって、ランチに行く前に必ず声を掛けるようにしていたのに、この人はいつも仕事に没頭して執務室から出ることすら忘れてしまうんだ。