常務サマ。この恋、業務違反です
夜のテンションは、朝になると何故だか一気に冷静になる。
自分のしようとしてることが、とても恥ずかしいことなんじゃないか、と思えて来るから不思議だ。
翌朝……。私は二人分のお弁当を持って出社した。
本当は持って来ることもかなり迷ったけど、どうするか決めかねた挙句、とりあえず持って出て来ただけ。
実際は本当に渡すかどうかもまだ迷っていて、私は今朝からずっと高遠さんの様子を窺っていた。
予定の変更はないから、ランチの時間に合わせたアポイントは入ってない。
それでも私が把握し切れていないプライベートの予定がないとは限らない訳で……。
そうなった場合、満員電車の中で死守したお弁当は無駄になるな、と思いながら、私の心は半分やけっぱちで固まって行く。
せっかく持って来たんだから。
言い出せずに捨てるよりは、迷惑がられて捨てた方がいくらか教訓になるっていうもの。
いつもお昼に出掛ける時間を迎えて、私は軽く自分のデスクの上を整えた。
そうして立ち上がって、仕事の手を止めようとしない高遠さんをチラッと見遣った。
その姿に背を押されるように、私は大きく息を吸って高遠さんに声を掛けた。
「あの。高遠さん」
自分でも気付いてしまうくらい、緊張で声が上擦っている。
高遠さんは全く気付く様子もなく、ん?と書類に目を通したまま短い声を返して来た。
「私、お昼休憩行って来ますけど……」
「ああ、行ってらっしゃい」
「高遠さんは、どうするつもりですか?」
私の投げ掛けた言葉に、え?と聞き返しながらようやく高遠さんは顔を上げた。
そして、返事を待っている私に何か合点したように、書類をデスクに投げ出してからチラッと腕時計に目を遣った。
自分のしようとしてることが、とても恥ずかしいことなんじゃないか、と思えて来るから不思議だ。
翌朝……。私は二人分のお弁当を持って出社した。
本当は持って来ることもかなり迷ったけど、どうするか決めかねた挙句、とりあえず持って出て来ただけ。
実際は本当に渡すかどうかもまだ迷っていて、私は今朝からずっと高遠さんの様子を窺っていた。
予定の変更はないから、ランチの時間に合わせたアポイントは入ってない。
それでも私が把握し切れていないプライベートの予定がないとは限らない訳で……。
そうなった場合、満員電車の中で死守したお弁当は無駄になるな、と思いながら、私の心は半分やけっぱちで固まって行く。
せっかく持って来たんだから。
言い出せずに捨てるよりは、迷惑がられて捨てた方がいくらか教訓になるっていうもの。
いつもお昼に出掛ける時間を迎えて、私は軽く自分のデスクの上を整えた。
そうして立ち上がって、仕事の手を止めようとしない高遠さんをチラッと見遣った。
その姿に背を押されるように、私は大きく息を吸って高遠さんに声を掛けた。
「あの。高遠さん」
自分でも気付いてしまうくらい、緊張で声が上擦っている。
高遠さんは全く気付く様子もなく、ん?と書類に目を通したまま短い声を返して来た。
「私、お昼休憩行って来ますけど……」
「ああ、行ってらっしゃい」
「高遠さんは、どうするつもりですか?」
私の投げ掛けた言葉に、え?と聞き返しながらようやく高遠さんは顔を上げた。
そして、返事を待っている私に何か合点したように、書類をデスクに投げ出してからチラッと腕時計に目を遣った。