常務サマ。この恋、業務違反です
地上階の商業施設の電気が落ちて、静まり返った都心のど真ん中のオフィスビル。
それでもオフィスフロアのところどころにまだ電気が灯っていて、相当ラフな格好をしている私も特に問題なく入館出来た。
いつも六台稼働しているエレベーターは、一台しか動いていない。
それだけ使う人が少ないんだ、と思うと、私が向かう先にも人気がないことは予想出来た。
でも……きっと、高遠さんは執務室にいる。
妙な確信を心に抱いたまま、私は三十階でエレベーターを降りた。
一歩踏み出した廊下は、昼間の賑やかさが嘘みたいに静まり返っている。
ちょっと不安な気持ちに駆られながらも、私は一番奥の高遠さんの執務室に急いだ。
思った通り、閉じたドアの向こうで灯りが灯っているのがわかる。
それにホッとして、私はドアの前で大きく息を吸ってから、小さく二度ノックした。
返事がないから、黙って静かにドアを開ける。一歩踏み出してから、高遠さん、と呼び掛けてみた。
見渡した室内に高遠さんの姿は見付からなかったけど、私はそのまま中に歩を進める。
そうして、ソファに横たわるその姿を見つけて、やっぱり、と思いながら肩で息をした。
後一時間もしたらフランクフルトとの電話会議が始まる。
きっと、テーブルに無造作に投げ出された携帯のアラームがセットされているんだろう。
それならここにお弁当を置いていけばいい。
私は持って来た紙袋をテーブルに置いて、自分のデスクでメモを走り書きした。
そして紙袋の前に置いてから、眠っている高遠さんに目を遣った。
夜中にどの程度節電されるのかわからないけど、このまま眠っていたら風邪をひいてしまう。
スーツの上着を反対側のソファに放り投げたまま、シャツ一枚で眠っている高遠さんに、私は自分の椅子に掛けてあったストールを手に取って近付いた。
それでもオフィスフロアのところどころにまだ電気が灯っていて、相当ラフな格好をしている私も特に問題なく入館出来た。
いつも六台稼働しているエレベーターは、一台しか動いていない。
それだけ使う人が少ないんだ、と思うと、私が向かう先にも人気がないことは予想出来た。
でも……きっと、高遠さんは執務室にいる。
妙な確信を心に抱いたまま、私は三十階でエレベーターを降りた。
一歩踏み出した廊下は、昼間の賑やかさが嘘みたいに静まり返っている。
ちょっと不安な気持ちに駆られながらも、私は一番奥の高遠さんの執務室に急いだ。
思った通り、閉じたドアの向こうで灯りが灯っているのがわかる。
それにホッとして、私はドアの前で大きく息を吸ってから、小さく二度ノックした。
返事がないから、黙って静かにドアを開ける。一歩踏み出してから、高遠さん、と呼び掛けてみた。
見渡した室内に高遠さんの姿は見付からなかったけど、私はそのまま中に歩を進める。
そうして、ソファに横たわるその姿を見つけて、やっぱり、と思いながら肩で息をした。
後一時間もしたらフランクフルトとの電話会議が始まる。
きっと、テーブルに無造作に投げ出された携帯のアラームがセットされているんだろう。
それならここにお弁当を置いていけばいい。
私は持って来た紙袋をテーブルに置いて、自分のデスクでメモを走り書きした。
そして紙袋の前に置いてから、眠っている高遠さんに目を遣った。
夜中にどの程度節電されるのかわからないけど、このまま眠っていたら風邪をひいてしまう。
スーツの上着を反対側のソファに放り投げたまま、シャツ一枚で眠っている高遠さんに、私は自分の椅子に掛けてあったストールを手に取って近付いた。