常務サマ。この恋、業務違反です
それと反比例する自分の高鳴った鼓動に焦って、一瞬頭の中が真っ白になった。


抱き枕か何かと勘違いしてるのか。
抱える物を手に入れて、むしろ眠る姿勢に安定感が増したかのように、高遠さんの腕の力は緩まない。


そして。


「……う、ん……」


そのまま狭いソファで寝返りを打つ高遠さんの身体に巻き込まれる。


「ひゃっ……!!」


背中がソファのシートにぶつかって、膝は完全に床から離れて浮き上がった。
そのまま、高遠さんは私の身体に足を絡ませようとする。


予想外の事態に驚いて、抵抗を忘れている間も、高遠さんはますます強く私を抱きしめ続ける。


埋まってしまった顔に感じる、高遠さんの引き締まった厚い胸板と温もり。
穏やかな寝息にくすぐられる髪。


一つずつ順番に意識し始めたら、どうしようもなく鼓動が速くなっていく。


出来れば起こしたくない。せっかく気持ち良さそうに眠っているのに。
でもさすがにこの体勢が続くのは無理!
完全にオーバーワークの心臓が、限界を訴えて悲鳴を上げている。


「高遠さんっ!!」


高遠さんの胸に顔を埋めたまま、必死に叫んだ。
それでも高遠さんは微かに身じろぎするだけで、腕を緩めてはくれない。
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