常務サマ。この恋、業務違反です
「高遠さんってば!!」
再度大声を上げながら、高遠さんの胸に手を置いた。
そして、狭い可動域の中で必死にその胸を叩くと、
「ん?」
ようやく高遠さんが目を覚ました。
そして。
「え?」
寝起きの顔でぼんやりと胸元の私を見下ろす。
「は、放してくださいっ」
「えっ!? な、なんでっ」
やっと事態を認識してくれたと感じた瞬間、高遠さんが軽くパニクった。
バッと勢い良く私から手を離すと、まるでケダモノでも見るかのように、ズリズリとお尻をずらして私から逃げていく。
そして、ソファの肘掛、限界ギリギリで身体を硬直させた。
「俺、一体何を……」
起き抜けで頭が働かないのか、高遠さんはがしがしと髪を掻き回して、ギュッと目を閉じて首を捻った。
「い、言っときますけど、私はストール掛けてあげようとしただけですからね! 引っ張り込んで来たのは高遠さんの方で!」
恥ずかしさはMAXだった。
どうしようもなく照れ臭いのを必死に隠したら、そんな可愛くない文句が先走ってしまう。
「え? マジか……。ごめん」
頭を抱えてそのままめり込んでしまいそうな高遠さんに、私までどうしていいか落ち着かなくなる。
「あのっ! 私、一度帰りますね」
「え?」
「だって、……そう、着替えないと!」
昨夜気張ってオフィススタイルで来なくてよかった。
マンションに戻っても、そうゆっくりすることも出来ずにまた戻って来なきゃいけない。
それでも、このまま高遠さんとずっと一緒に始業時間を待っていたら、心臓が壊れてしまいそうだった。
「じゃ、じゃあ、また後ほどっ」
「あ、おい、葛城さん!」
高遠さんが私を制止する声を無視して、私は転がるように執務室から飛び出した。
再度大声を上げながら、高遠さんの胸に手を置いた。
そして、狭い可動域の中で必死にその胸を叩くと、
「ん?」
ようやく高遠さんが目を覚ました。
そして。
「え?」
寝起きの顔でぼんやりと胸元の私を見下ろす。
「は、放してくださいっ」
「えっ!? な、なんでっ」
やっと事態を認識してくれたと感じた瞬間、高遠さんが軽くパニクった。
バッと勢い良く私から手を離すと、まるでケダモノでも見るかのように、ズリズリとお尻をずらして私から逃げていく。
そして、ソファの肘掛、限界ギリギリで身体を硬直させた。
「俺、一体何を……」
起き抜けで頭が働かないのか、高遠さんはがしがしと髪を掻き回して、ギュッと目を閉じて首を捻った。
「い、言っときますけど、私はストール掛けてあげようとしただけですからね! 引っ張り込んで来たのは高遠さんの方で!」
恥ずかしさはMAXだった。
どうしようもなく照れ臭いのを必死に隠したら、そんな可愛くない文句が先走ってしまう。
「え? マジか……。ごめん」
頭を抱えてそのままめり込んでしまいそうな高遠さんに、私までどうしていいか落ち着かなくなる。
「あのっ! 私、一度帰りますね」
「え?」
「だって、……そう、着替えないと!」
昨夜気張ってオフィススタイルで来なくてよかった。
マンションに戻っても、そうゆっくりすることも出来ずにまた戻って来なきゃいけない。
それでも、このまま高遠さんとずっと一緒に始業時間を待っていたら、心臓が壊れてしまいそうだった。
「じゃ、じゃあ、また後ほどっ」
「あ、おい、葛城さん!」
高遠さんが私を制止する声を無視して、私は転がるように執務室から飛び出した。