今宵秘密が暴かれる。
土方side



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「近藤さん、俺だ」


そう戸の向こう側に声を掛けると、すぐに聞きなれた低く優しげな声が返ってきた。

その相手は、




「おお、トシか。入りなさい」



ス_______ _



この屯所内の一番奥。
一番に俺たち壬生浪士組が守りたい存在。








「近藤さん。折り入って頼みがあるんだが」






壬生浪士組の局長である、近藤 勇だ。





「なんだ、トシが俺に頼みなんて珍しいな」


返ってきた言葉は予想どおり。


俺ァあんまり近藤さんに
迷惑なんかかけたきゃねェが。



「…ああ、総司や平助みたいに我が儘なんざ言う齢でもねェからな」


「ははっもっと頼ってくれてもいいのだがな!…それで、トシ。頼みって何だ?」


勿論、頼みというのはさっき総司と拾ってきた
あの餓鬼ンことだ。



「…少し厄介なもんを拾ってきちまってな。素性もよく分からねェもんで、俺の監視下に置いて置きたいんだ。…下手に放って問題起こされても面倒だからなァ」



そう。俺が煌と名乗るアイツを壬生浪士組に引き入れた理由は他でもない。







俺が自ら監視する為だ。


長州の奴等に追われていたからといって
長州の間者じゃねェとも言い切れねェ。



寧ろ、そう芝居をうって俺たちの内部に潜入し奴等に密告しようとしているのかもしんねェ。




何せ、あの男は疑うべきところが多すぎる。



「…そうか。分かった、他ならぬトシの頼みだからな!よし、じゃあトシ。すまんがここに今見回りに言ってない他の皆も呼んでくれ。

その者の処遇を決めよう」





「分かった。ありがとな、近藤さん。




…では、失礼した」






そう言って頭を下げると、俺は幹部の召集の為
早々と近藤さんの自室を去った。









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