今宵秘密が暴かれる。

「わかっていんす。

……月夜殿がお雛様を愛していたことなど。
そんなことわっちとて、わかっていんすぇ」





その哀しげな微笑に___


俺の中に罪悪感という感情が生まれ始めているのを感じる。



心の中で、この人をこれ以上傷つけるようなことを言ってはいけない…と。



でも…俺だってここは譲れない。




「っ………ならっ」






「されど、貴方様にはココでやってもらわねばなりんせんことがありんす。

今は真実か嘘かなどを
話していんす時ではありんせん 。



……………もうじき夜が明け、また暫くコウ様にはお会いすることができなくなりんす」







…………あーもういやだ。


軽くあしらわれてしまうというその事実も、



何故かこの人のその儚げな、しかし凛としている声を聞いていると、理由もなく泣きそうになる、という得体の知れない感情も…。




今はその全てが嫌で仕方がない。





「わっちは既にこの世の物ではありんせん…。
そいで、コウ様が夢から覚めるとともに、わっちも消えねばなりんせん」





“この花魁と話すことなんて何もない。”

“こんな夢、早く覚めればいいのに”



…確かに俺は、そう思っているのに……




どうしてか、この花魁とちゃんと話さなければならない気がしてならない、と思い始めている自分に気がついて軽くショックを受けた。










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