今宵秘密が暴かれる。
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朝飯を食べ終わるのを見計らったように
土方さんは俺の部屋にやって来た。



「道場の場所、教えてなかったろ。どーせ平助のことだからそんなこと頭の端にも入れてないと思ってなァ」



「おお……流石」



俺も思っていたことだが、
道場に来いと言われても肝心のその場所が分からなかったらどうしようもない。


昨日集まった連中に聞こうにも、そいつらの部屋の場所さえもわかんねぇから、どうしようかと考えていたところに土方さんの訪問。




「ほんと流石の一言につきます」

「……別にあいつらの考えてることなんてのは剣と飯くらいなんだから誰でもわからァ」



まじか。
剣と飯のことしか考えてないのか。




「おい、
支度は整っているようだからもう行くぞ」



土方さんは俺の方も見ずにそう言うと、さっさと部屋から出て行ってしまった。



まるで、俺を置いていきそうな勢いだ。



「ちょっと待ってくださいよ、土方さん!」




俺が呼び止めても、そのままさっさと歩いて行ってしまう。

が、





トントントっとリズムよく歩いていた土方さんの足音が変わったのが分かった。


トン…トン…トン…


どうやら
さっきよりはゆっくり歩いてくれるらしい。





(優しいんだか、冷たいんだか…………)




そうは思ったが、
ほんの少しだけ自分の頰と口元が緩んでいることに気づき、慌てて手で抑えて土方さんの後を追った_______


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