ジェノサイドの哀歌
私はそのメールを何度も読み返した。文字の間違いをひたすら探した。これはなにかの間違いだ。彩乃のママが間違えたんだ。間違えたんだ………もう、彩乃のバカ……
今朝、メールを開いて、私は一瞬息が出来なくなった。そのメールの「亡」の文字は私の目を吸い込むかのように酷く濁って見えた。

もうパソコンなんて開いてる場合では無かった。

真夏の青空はもはや黒く塗り潰したように見える。視界の彩度が無くなったみたいだ。もう彩乃と話せない。私の日頃の愚痴も聞いてくれない。私はもう寝るしかなくなった……

……どれ位寝ただろうか…携帯を見るともう11時をまわるところだった。私の視界にパソコンが見えた。

……気付いたら、私はパソコンの前に座っていた。

(あれ、わたし何してんだろ……)パソコンの電源を入れ、◯カイプを開く。(もしかして私、彩乃と話そうとか考えてんの?)彩乃の応答を待っている。(バカじゃないの?だって彩乃はもう……)

ープチッー

「…もしもし〜優香里?私だよ〜!優香里〜!聞こえてる?おーい」

イヤホンから聞こえたのは紛れもなく彩乃の声だった。

「………彩乃……なの?」
「私が彩乃以外の誰だって言うの?」

彼女は嗤いながらそう言った。彩乃はもういないのに、いないのに私は話しかけてしまった。


ーイヤホンから小さな嗤い声が聞こえたー
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