ジェノサイドの哀歌
ー幸いにも、瑠菜は無事だった。熱中症みたいだ。あいつもボーっとしてたんだろうな(笑)。昼休み、俺は保健室でベッドに腰掛けている瑠菜と話していた。
「大丈夫か?ごめんな、ちゃんと見てなくて。」
「いや、純夜が悪いんじゃないよ。私がちゃんとしてなかったから…」
違う。あの影を見なかったら…すぐ気づけたかもしれないんだ。助けられたかもしれないんだ。自分の中での葛藤が激しくなる。もうやめよう。
保健室の窓の奥には濃い緑の葉をつけた木々が茂ってる。この学校には小さい森みたいなのがある。そして、その森を囲うように四階建ての校舎が建てられている。俺の教室は外側だから、小さな森の景色は見えない。こんな感じなんだ。
換気のために窓を開けると、涼しい、心地よい風が身体を包む。なんか懐かしい感じがする。そんなことを考えていると時計の針はいつの間にか昼休みの終わりの時刻を指していた。
瑠菜に別れを言い、急いで森の見えない教室に戻った。

ー傾いた太陽に照らされる放課後。俺は瑠菜を探したが、彼女は何処にもいなかった。1人で家まで帰ることになったが、どこか嫌な予感がした。瑠菜は大丈夫なのだろうか?どこかで倒れてないだろうか?そんなことを考えながら歩いていると、携帯が鳴った。

ーその着信は、瑠菜からだった。
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