ジェノサイドの哀歌
ー急いで俺は瑠菜からの着信に答えた。もしかすると本当に何かあったのかもしれない。

「もしもし?」
「……純夜‼︎……もう…私……だめかも…」
「どうした!?何があったんだ!?」
「明日…屋上に……あいつが………来る……」
「あいつ!?とにかくどこにいる!?すぐ行くから!」
「来ないで‼︎もう…間に合わないんだ…から……」

プーップーップーップーッ…

電話はこれだけで切れた。何がどうなった!?

頭上では烏が鳴いてる。馬鹿にしてんのか。畜生ッ!俺がもっと早く気付いていれば…狐色に染まった空の中、俺は走って帰った。

ーそして翌朝。
瑠菜は、俺の目の前で消えた。
そして、背後には「あいつ」が立っていた。
そして、俺も息絶えた…
深い森が俺を呼んでいるような気がした。


ー遠い空の奥、とある海岸には、白い壁と煉瓦色の屋根の小さな小屋が立っていた。遠くの周りは、高い灰色の壁が聳えている。薄いピンク色の髪を靡かせ、白いワンピースを着た少女が海を眺めている。

「あぁ!今日もいい天気!」
「今日はお花畑のお花で飾りを作ろうかなぁ。あぁ!楽しみ!」

ゴォォォォォォ‼︎‼︎

突然、遠くの方から大きな機械音が鳴り響いた。瓦礫の崩れる音もする。平和なここに何かが入ってきた。銃や盾やらを担いだ迷彩柄の男達が素早くやってくる。少女は察した。
私は今から殺されるのだと。
少女は逃げ惑い、海へ飛び込む。外では銃声が聞こえる。
少女は長い間流され続け、いつの間にか、別の海岸へと辿り着いた。
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