ジェノサイドの哀歌
暑い。マジで暑い。
連なる摩天楼の中、私、杉野優香里は、強い紫外線ビームに殺されそうになっていた。
夏ってこんなに暑かったっけ⁉︎

ーそもそもどうしてこんなことになったかと言うと昨日の謎の通信にまで遡る。

「ー私が彩乃以外の誰だっていうの?」
「違う‼︎あなたは、もうここにはいないはずなの‼︎誰?お願いだから、帰って…」
「私は……あなたに伝えたいことがあてきたの」
「⁉︎…何?」
「あの…あの海岸に来れば分かる…」
「⁉︎」
「あなたにとって知りたいことも…知りたくないことも…」
「あなた…何を…」
「あそこに行けば全て分かってしまうから…」
「意味分かんない‼︎さっきから変なことばっかり言って…大体もう死んでる人にそんなこと言われたって…」
「…待ってる」

プツッ

あいつが何を言ってるのかさっばり分からなかった。「海岸」?どこ?どこにあるの⁉︎
…いや、待って。もしかすると…あそこかもしれない…でも彩乃はあそこを知らない…ってことは‼︎…あいつ⁉︎

ーてなわけで、ここまで来たわけだが、やっぱ暑い。なんか…蒸し焼きにされてるみたい。
そんなことを考えながら私は摩天楼の間を潜り抜け、小さな雑木林のようなところに入った。
森の中を慣れた足どりで進み、20分もすると、奥の方から眩しい光が差し込んだ。
そして視界は薄暗い森からうって変わって開放的な海岸に変わった。
白い砂浜、透き通るようなシアンブルーの海、周りを囲む小高い山々。そこはまさに桃源郷だった。
「懐かしいなあ。ここに来るのはもう中1以来かあ。」
久しぶりに海水でも触ってみたいと思い、海岸線に近づく。
そして私は息を呑んだ。

ー黄緑の髪をした白い少女が仰向けになって倒れていた。
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