◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「お、おう!」
チャラ男はこっちに向かって手を上げる。
私は後ろを振り向くが、誰もいない。
え、私!!!?
私が自分を指差すと、男は頷いた。
「あの、何です………」
「妹が来たから、もう行く。それじゃ」
そう言って私の手を掴み走り出すチャラ男。
「は、はぁ!!?」
「いいから、走れって!!」
私は男に連れられて、全力疾走させられる。
な、なんでやねん!!
どうして私が逃げなきゃなんないのー!!!!
「はぁっ、はぁっ………」
やっと止まったと思えば、見たことの無い町並みがそこには広がっていた。
「ここっ………どこっ……ですか…はぁっ…」
呼吸を必死に整え、もう一度見渡すと、目の前には『Il burner』と書かれた美容院があった。
「い、イルヴァーナ??」
「あぁ、俺の美容院だ」
イルヴァーナ………。
あれ、どこかで聞いたことあるような………
「まぁ、入れば?」
そんな考えは、チャラ男の言葉でぶっ飛んだ。
「入れば?じゃないから!修羅場に巻き込まないでよね!!」
チャラ男を睨み付けると、チャラ男は笑う。
「いいだろ、こんなイケメンの妹になれて」
「…………………………自分に酔ってる正真正銘の馬鹿?」
うん、そうに違いない。
こういう人には、もう二度と関わらないのが一番。
怨恨とかで刺されそうだし、この人。