◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
『そして……私の……元…へ……』
俺の目の前には扉、俺の後ろには呼び止めるあの大切な人の声。
俺は、基本的に面倒事が、嫌いだ。
いや、好きな奴なんていないだろうけど……
「お前は……俺に何をさせたいんだよ……」
声は俺に旅をさせ、そしてこの世界の終わりと巡り合わせた。まるで、それを求めていたかのように…
「ああーっ!!クソッ、やりゃあいいんだろ!!」
俺は振り返り、いばらに捕らわれた女へと剣を向ける。
「乗りかかった船だ、やるだけやってやらぁ…」
俺はいばらを切り裂く。
ーザシュッ!!!
思いの外簡単に、いばらは壊れ、その体が宙へと放り出される。俺は駆け寄り、両手を伸ばした。
「あ……………」
こんな時に、何考えてんだって思うかもしれないが……
その、靡く髪がまるでこの世界には存在しない太陽のように思えた。紅く、燃える眩しい光のように……
まるで、とんでもない世界に足を突っ込んだ気分だった。