◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「あ………泣かないで…」
私は鏡の中の女の子に手を伸ばすが、鏡が邪魔して届かない。
悲しい………
なんでだろう、すごく辛くなる。
その涙を拭って、抱き締めてあげたかった。
今にも、壊れてしまいそうな少女に、私はもどかしくなる。
「この手が、あなたに届けばいいのにっ……」
私も、泣いていた。
どうしてか、痛いくらいに少女の悲しみが心に流れ込む。
『雫………あなたを、待ってる…』
「あっ………」
少女の姿が、どんどん透けていく。
少女は、鏡越しの私の手に自身の手を重ねた。
「待って!!あなたはっ……」
『雫……』
私の名を呼びながら、少女は、姿を消してしまった。
そして、鏡越しに私の背から、光の翼が生えたのが見えた。
そして、翼は強い輝きを放ち始める。
「ま、眩しっ…………」
ージリリリリッ
聞き覚えのある目覚ましの音を聞きながら、私は意識を失ったのだった。