◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
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「ルーク、少し休もう!?ルークの血がっ……」
頭から、腕から流れる血がルークのシャツを濡らしている。心なしか、息も荒い。
「もう疲れたのか?ご褒美なら後でいくらでもやるから、今は走れって」
ルークはこっちを見ずに、前だけを見てそう言う。
ルークの方が重症なのに、私の手を強く引いてくれている。
こんな時まで子供扱いして…………
医療的な事はよく分からないけど、このままじゃルークが危険だって事はわかるよ………
「本当に、お願いだから………」
触れる手が冷たいのは、寒いから?
そうじゃないとしたら……
そう考えて怖くなり、私は首を横に振る。
大丈夫………大丈夫だよね?
でも………やっぱり、このままじゃだめだ。
「今、止まったら、確実に追い付かれる。いや、もう追い付かれたみたいだな……」
「えっ………?」
ルークは私を背に庇い、剣を構えた。
そして、森の一角を鋭い瞳で見据える。
「何か、そこにいるの…………ッ!!」
何だろう、この寒け………
体の底から冷えていくような、怖い………
「おい、どうした?」
様子のおかしい私を、ルークが振り返る。
どうしたなんて、私が聞きたい。
だけど、すごく体が震えて、しょうがない。
ーボコボコボコ……
すると、奇妙な音とともに、紫の物体が私達の前に現れる。それは、形を持っておらず、しいていうならスライムのようだった。