◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「あ、あれ………は……?」
「あれは、幻魔(ゲンマ)だ。気を付けろ、アレは人を喰うぞ……」
ルークは警戒をさらに強め、剣先を幻魔へと向けた。
幻魔…………
この世界には、そんな化物までいるの??
夢なら早く覚めてよ………
あぁ、でもこれが本当に夢なら、の話だけど。
風も、夜の匂いも、そして、繋がれた手の強さ、温もりも現実のようで、夢と簡単に言い切れるほど、この世界を否定もできなかった。
ーボコボコボコ……
『………誰モ……助ケテ………クレナイ…』
幻魔は何かを言いながら、一目散にこちらへ向かってくる。
「ちょっ、幻魔って言葉を話せるの!!?」
なお、気持ち悪いじゃん!
でも、「誰も助けてくれない」って………何か、悲しい。
「はぁ??話せるわけねぇだろ、さっきから気持ち悪い音立てながら近づいてくるだけだろ!」
「えっ………?」
え、嘘でしょう??
今、確かに声がしたのに………?
私の空耳??
私は幻魔を見つめる。
『助ケ……テ………』
「っ!!ほら、やっぱり喋ってる!!」
「助けて」ってちゃんと聞こえた。
この幻魔が言ってるんだよ!!