◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「本当に弱い人なら、自分が弱いなんて認められないよ!あなたは、自分の弱さも認められてて、強いって思う!」
そんなに、距離も無いのに、私は叫んだ。
なぜか、そうしなきゃ、届かない気がしたから。
「あなたに必要なのは、ほんの少しの勇気……じゃないかな??」
具体的にわからないから、うまくは言えないけど………
「言葉に出して、もっと助けてーって、アピールするの!小さい声じゃ、誰にも伝わらない!助けたくても助けられないと思うんだ!」
私は、そっと幻魔に歩み寄る。
「馬鹿!近づいたら………!!」
ルークの静止も聞かず、私は幻魔に手を差し出す。
「現に、私はあなたの声を聞いたから、こうやって手を差しのべる事が出来たんだよ。だから、勇気を出して」
私の言葉に、幻魔は恐る恐る手のようなものを私に伸ばす。
「雫!!」
ルークがこちらに駆け寄ろうとしたのが見えた。
「もっと声を聞かせて、あなたを、見てくれている人はたくさんいるよ!さぁ、頑張って!」
そして、私と幻魔の手が触れあった。
その瞬間ー……
ーパァァァァァァッ!
触れあった所から、幻魔は光となって消えていく。
「あっ………嘘っ!!」
「幻魔が消えていく………?」
幻魔はハラハラと光の粒子へと変わり、天へと昇っていく。
そんな、助けられると思ったのに……
私が触れたせいでっ………
『ありがとう』
「えっ…………」
今度はハッキリ、そう聞こえた。
すると、光の中に、同い年くらいの女の子を見た気がした。
そして、光が完全に消えると、そこにはまた、私とルークしかいなくなった。