◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「いーから、出てって!!」
ーバンッ
ここぞとばかりに枕を手当たり次第に投げる。それをかわすルークは、呆れたように私を見た。
「これをガキと言わず、何て言うんだよ。ったく、早くしろよー?」
そう言い放ち、部屋を出ていく。私は、ゼェ、ハァーと、肩で息をしながら、着替えに手をつけた。
「顔が良いからって、誰でも好きになると思ったら、大違いなんだから!」
私は、ブツクサと文句を言いながら、着替え、鏡の前に立つ。そして、鏡に映る自分を見つめる。
「やっぱり、馴れないなぁ…………」
顔は私なのに、髪も瞳も、私の元々持っていたものじゃない。私の知らない私がそこにいるような、不思議な感覚。
私は、そっと鏡に触れた。
そして、黒い翼のあの子を思い出す。
あの子は、今どこにいるんだろう…………
『見つけて、壊して』と涙を流したあの子を、私は見つけなくちゃ。
今度こそ、あの涙を拭ってあげるんだ。
この手が届いたら、「もう大丈夫だよ」って、抱き締めてあげるんだ。
「そうだ、何をすべきかなんて、とっくに分かってたんじゃん……」
この世界に呼んだのがあの子なら、私のする事は……
「あなたを見つける事なんだね」
目の前の霧が、開けた気がした。
私は決意をする。
必ず、あなたを見つけるから!!
そう、意気込み、私はローブへと袖を通した。