◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
中に入ると、そこは人で溢れ、熱気さえ感じる。舞台を囲むように設置された席へつくと、中央の舞台が見えた。
「Ladies and Gentleman!!」
そこに、明るい声が響き渡る。舞台には、ピエロが一人、ボールの上で器用に跳ねながらこちらに手を振っていた。
「わぁっ…………」
なんて器用なんだろう!すごいなぁ……。サーカスなんて、滅多に見れるものじゃないし、なんか得した気分!!
ワクワクしながらそれを見ていると、隣で「はぁ…」とため息が聞こえた。
横を見ると、肘おきに頬づえをつきながら呆れるように私を見つめるルークと目が合う。
「何よ」
どうせ、またガキだとか言うんだ。だって、面白いものは面白いし、純粋に楽しんでるだけなんだから、そんな目で見るのはやめてほしい。
「お前が世界の終わり、ねぇ……?」
まるで、「こんなのが?」と言わんばかりに、ルークは馬鹿にしたような目を私に向ける。
そういえば、暁の姫は世界の終わり……なんだっけ。私を襲ったあの魔法使いも言ってたけど、それってどういう…
「さぁさぁ、お次はナイフ投げだよ!!百発百中、どんな獲物も逃さない!ご覧あれ!」
考え込んでいると、どうやらサーカスはどんどん進んでいたようだ。銀色の髪と瞳を持つ少年が、ピエロの投げたりんご目掛けてナイフを投げた。
「それっ!!」
ーシュッ!!
少年はそれを見事にりんごに命中させる。そして、笑顔でこちらに手を振った。
それにどっと歓声が沸く。
す、すごい………。あんな遠くて、早いのに、どれも外さなかった!!
私とそう歳もかわらなそうだ。すごいなぁ……
私も歓声に合わせて目一杯拍手をした。