◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~



「行ってきまーす!」

「雫、気を付けるのよ?行ってらっしゃい!」


お母さんの優しい笑顔に見送られながら、私は学校へと向かった。



しばらくして、人通りの多い交差点に出る。


『やっほー!僕がぶりっこアイドル、司くんだよーっ!』



ビルに取り付けられたテレビから、今話題の男なのに『ぶりっこアイドル 藍堂 司』が映っていた。


うわぁ…………すごいなぁ、司くん。
可愛いけど、かっこ良くはないかも。


「あれ、司くんじゃん!可愛いよねぇ~」

「うんうん。あの、ちょっとお馬鹿なのが、なお可愛い!」


すれ違った女子高生たちも、テレビを見ながら話している。



そういうもんなんだなぁ………
私は、顔カッコいいのにもったいない気がするけど……



ーピンポン、ピンポン


信号が青になった事を知らせる音が聞こえる。
私はテレビから目をそらし、交差点を渡った。










< 6 / 92 >

この作品をシェア

pagetop