◇Sleeping Beauty◇~暁の目覚める時~
「行ってきまーす!」
「雫、気を付けるのよ?行ってらっしゃい!」
お母さんの優しい笑顔に見送られながら、私は学校へと向かった。
しばらくして、人通りの多い交差点に出る。
『やっほー!僕がぶりっこアイドル、司くんだよーっ!』
ビルに取り付けられたテレビから、今話題の男なのに『ぶりっこアイドル 藍堂 司』が映っていた。
うわぁ…………すごいなぁ、司くん。
可愛いけど、かっこ良くはないかも。
「あれ、司くんじゃん!可愛いよねぇ~」
「うんうん。あの、ちょっとお馬鹿なのが、なお可愛い!」
すれ違った女子高生たちも、テレビを見ながら話している。
そういうもんなんだなぁ………
私は、顔カッコいいのにもったいない気がするけど……
ーピンポン、ピンポン
信号が青になった事を知らせる音が聞こえる。
私はテレビから目をそらし、交差点を渡った。