にじいろ。



「見送りなんて必要ない。邪魔なだけ」


そう。


自分には、そんなものはいらない。


湿っぽい空気は昔から苦手だ。


だから、みんなが知らない間に
いなくなってしまいたかった。


誰にも知られることなく、
ひっそりとその場から消えていきたかった。


友達という存在をつくろうとしなかったのも
そのためだ。


そのうち引っ越すとわかっていたから
誰とも関わらないでいた。


なのに。


この少年のせいで計画は台無しだ。


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