にじいろ。



僕には幼い頃から妖怪が見えた。


そのことを内緒にして
初めてできた友達と一緒に帰るときも
その道を通っていたのだが
友達はそこにいる彼女の存在に
気づいてすらいなかった。


彼女は僕にしか見えない。


つまり彼女は、妖怪だった。


だがしかし
彼女はそのことを僕に感じさせなかった。


普通の友達のような感覚だった。


僕にしか見えない友達。


僕にだけ見える友達。


彼女は少し、特別だった。


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