にじいろ。



僕は今、電車に乗って
小学生の頃に住んでいた田舎に向かっている。


あの通学路に行って彼女に会うためだ。


高校生になってしばらくが経ち
今の生活にもだいぶ慣れて落ち着いてきた。


久々に自分の時間が確保できたため
何年ぶりだかよく覚えていないが
会いに行ってみようと思ったのだ。


山と畑と小さな川の景色が
淡々と、そして広大に静かに続く。


こうして田舎の景色を眺めていると
もうあんな日々は戻ってこないのだと実感する。


時間は常に流れているのだと
感じさせられる。


……彼女は元気だろうか。


不意に、そう思った。


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