so sweet!!!
「かわいい」



 俺はそうつぶやいた。



 千代子ちゃんの顔がぱあっと明るくなるのがわかった。



「いただきます」



「一応、味見はしたんだけど…おいしくなかったらごめんね?」



 俺は千代子ちゃんの言葉に頷き、とりあえず卵焼きを食べる。



 …いきなりうさぎをつつくのも可哀想だったからね。



「…どう?」


 千代子ちゃんは不安そうに俺の顔を覗き込んだ。



「…!ウマイ…」



 甘めの卵焼きだった。



 家の卵焼きは甘くないから不思議な感じだが、今までほかの女の子がくれたものよりずっと美味しかった。



「千代子ちゃんも、自分の、食べて?」



 俺が千代子ちゃんの顔を覗き込むと、顔をまた赤くした。



 その顔を隠すように手で顔を覆おうとするから、その勢いで



 弁当箱がひっくり返った。



 俺にくれたのよりずっと小さなその箱は見事に真下を向いていて。



「あ…ごめん…。



俺いらないことしたね…」
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