so sweet!!!
「あの、キスシーン良かったよね」



 千代子ちゃんが丁度ショッピングモーを出たところでそう言ったから、これはチャンスだと思い、腕を掴んだ。



「え…?」



 俺は千代子ちゃんと向き合う形になり、顔を近づける。



「ちょ…」



 千代子ちゃんは掴まれていないほうの手で俺を静止してきた。



「待って、こんな人の多いとこ、恥ずかしい」



 千代子ちゃんは顔を赤らめた。



 可愛すぎ、我慢できねえじゃん。



 ま、する気はないけどね。



 俺は腕を掴んだまま、路地に入った。



 あんまり奥に行き過ぎると、怖いお兄さんたちが邪魔してくるから、ちょっと入ったところだけどね。



「千代子ちゃんが好きだったキスシーンって、壁ドン、でしょ?」



 俺は千代子ちゃんを壁側にして、肩の上あたりに手を付いた。



「さっきから俺の前で俺じゃない男の話してるけど」



「俳優さんじゃん」



「嫌だ。嫉妬しちゃう」



「子供みたい」



 千代子ちゃんは上目遣いでそう言ってくる。
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