ぎゅぎゅっと短編詰め放題





春人、あなたはすごく自由な人で、気まぐれですぐふらふらと出かけるような人だったけど

それと同じくらい優しい人だったから、わたしを突き放すことは出来ないと思うの。



だから、ね。わたしが解放させてあげるね。



「────さ、よなら」


何より自由が好きな春人が、これから先も不自由なく暮らせるように。

何よりも大切で大好きな春人が、幸せに暮らしていけるように。



わたしたちの関係に、終止符をうつ。


ーーバイバイ、春人。




だけど、わたしがその言葉を口にした時、彼は今までで一番切ない顔をして、わたしの腕を掴んだんだ。



わたしたちは、お互いのことに干渉をしたことがなかった。

ゆるく、がモットーで、記念日さえも、窮屈に感じて常に自分が自由じゃないと、嫌で嫌で堪らなかった。



ーーでもそれでも、わたしは、あなたとなら、乗り越えていけると思った。



少なくとも、わたしは、あなたと、乗り越えていきたいと思った。









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