ぎゅぎゅっと短編詰め放題
「─────塚原さんは、何で私にばかり担当になるのでしょうね」
歯止めが、効かなかった。
15分の1の確率が、永遠と続く、訳。
私だけが、この苦痛に耐えなくてはいけない、訳。
ーーそれは私以外の人がNGを出してるから。
「あの人は人として無理」
「終わってるよな」
ーー塚原さん。
あなたの知らないところで、あなたは避けられてるんですよ。
悪口を言われてるんですよ。知ってます?
「───知ってるよ」
「え?」
思わず、声が出た。
「俺の教習を受けるのは、お前と、まだ俺の存在を知らない新米野郎ぐらいだってことぐらい知ってるよ」
「……」
「それでも、別に、いいけどね。教習しようが休んでいようが給料は、同じだから」
なんていう、顔をするの、塚原さん。
私、動けない、よ。
だって、だってサングラス越しに、塚原さんの寂しそうな顔が映っちゃったんだもん。