ぎゅぎゅっと短編詰め放題
人に嫌われてまで厳しく指導する覚悟と、事故を減らしたいという信念は、本物だった。
ただ、その想いが、強すぎただけだった。
「……ごめんなさい」
何も知らなかった自分が恥ずかしくなった。
教官のこと、ただの性悪男だと思っていたこと、将来ハゲろと毎日三回唱えていたこと、謝ります、ごめんなさい。
「───こんなのは、慣れてるから、気にするな」
教習時間が終わり、車を停めると、塚原さんは車から出ると同時に言った。
……気にするな、って、言ったって塚原さん、嘘つきですね、あからさまに気にしてる顔じゃないですか。
「──お前も、早いとこ俺のNG出しとけ、まだ間に合うから」
そして、追いうちをかけるように、彼はそんな言葉を、捨てた。