ぎゅぎゅっと短編詰め放題
「……っ」
もう、本当なんなの。
私はこの間、どれだけ緊張して塚原さんに話しかけたかわかってますか。
名前を呼ばれたとき、明日世界が滅んでも後悔しない、ってくらい馬鹿みたいに浮かれて、周りに人がいたのも気づかなかったくらいで。
私は、みんなとは、違う、のに。
中途半端なミーハー心とはわけが違うのに。
「ねぇねぇ、先生、私今日最後までだからさ、送ってってよ」
「篠原さんを送ってったんだから、私だっていいでしょう?」
────違う、のに。
「……ああ、べつに構わない」
どうして、こう、何もかも、上手く行かないんだろう。