ぎゅぎゅっと短編詰め放題
選ばれなかったものは、負け犬。
肌寒い夜道を、黙って帰る、のみ。
「……」
本当は、二人で話せること、期待していました。
本当は、また穏やかで優しい声で、咲都って呼んで欲しいなって思ってました。
────でも、そんなこと、我が蓋にしか、過ぎなくて。
塚原さんは、みんなに平等だった。
私にだけ特別なんて、そんな感情、初めから持っていなかったのに。
──馬鹿だな、私。
本当馬鹿、なんであんなに浮かれたんだろう、今考えると顔から血が出てくるくらい、恥ずかしい。
「さよなら」
塚原さん。
私、次に教習くる時までに、この気持ち、整理してきますね。
自分だけが特別だなんて自惚れずに、1人の生徒としてしっかり講義受けますね。
ーーだから。