ぎゅぎゅっと短編詰め放題
「馬鹿なこと言ってんな」
それはそれは、突然でした。
少なくとも、私は失恋が確定し、滝の水で洗礼されて、もういっそのこと、妖精にでもなってやろうかなと心していた時でした。
はるか、上空。いや、違った。
30㎝くらい上から、私が一番聞きたかった人の、超絶不機嫌な声が、降りかかってきた。
「……」
気づけば、手を握られていて、裏山への道を塞がれている。
「どうして何も言ってこない」
「は」
「お前を送るのは、俺の役目だろう」
私は思わず、瞬き、二回。
待って。は?────まじで、わけわかめなんすけど。
は?何この人。自分が何を言ってんのか、わかってる?