もしも緑間くんと恋をしたら
ずっと続く緊張のなか、やっと辿り着いたファーストフード。

彼らはいつもここで間食をし、絆を深めているのだろうか……。

さつきは、黒子くんと過ごせたらいいってくらいで特に注文もせず席についた。

私も、結局飲み物くらいで止めたけど。

多分、男子生徒のなか、豪快に食べるなんて出来ないと思ったからだ。

「斉ちん、ジュースだけなの?」

「うん、とりあえず。紫原くんはお菓子も食べてたのに、ポテトもたくさん食べるんだね!」

「うーん、この体格だしねぇ。食べないと体力保たないよぉ」

そう言われて納得した。

だって、彼の身長二メートル近くはあるはずだもの。

「みちるん、むっくんとばっかりしゃべってるー!意外すぎる!ふふっ」

横からさつきにからかわれて、私は赤面した。

赤面したのが分かるくらい、頬が熱い。

「ち、違うよ!」

「違わなくないのだよ」

反論した私を抑えるかのように発したのは、紛れもなく緑間くんだった。

「……ごめんなさい」

私は突発的に、緑間くんに謝っていた。

怖いという感情以外の何物でもない。

「何を謝っているのだよ。紫原が話しやすかったのだろう。逆に俺みたいな男は、苦手だという顔をしている」

良い言い方をすればクール。

悪い言い方をすれば冷酷……。

私、彼と話せるのだろうか……。
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