もしも緑間くんと恋をしたら
すると、ずっと黙っていた赤司くんが口を開いた。

「斉藤」

名を呼ばれて、赤司くんに目線を向ける。

「お前、帰宅して何してる?」

「えっ……」

「お前、帰宅部だろう?」

「うん……趣味をちょっと……」

赤司くんが、ふっと小さく笑ったように見えた。

そして、この趣味のことはさつきにも話していない。

だからこそ、さつきが興味を示し、体を私の方に向けた。

「みちるん、何か趣味あったの?!」

「う、うん……」

「桃井も知らないということは、自信を持って言えないことなんだな」

「……そりゃ。だって私、麻雀が趣味だなんて言えなくて……」

『ま、麻雀?!』

そうだ。

私は麻雀が好きで、好きで仕方ない。

家に帰ったらネット麻雀して、麻雀漫画を読んでの繰り返し。

漫画の世界みたいに麻雀部があればいいのにっていつも思ってた。

「ごめん、さつき!私、ドン引きされると思って言えなかったの……」

「まさか、意外……」

「で、でも、みんなが好きなことに一生懸命打ち込んでる姿見ると、私、なんで隠してたんだろうって思って……」

「斉藤、お前、もしかしてネット麻雀ゲームで強いんじゃないのか?」

「ポイント制のゲームなんだけど、一応上位では……」

「そうか。そのニックネーム、そのままみちるんでやってるだろ?」

「どうして、それを?!」

「俺は麻雀はやったことがないが、知り合いがそんな話をしていてな。お前、プロフィールとか嘘つかなそうだから、そのデータと性格を照らし合わせただけだ。桃井がみちるんって呼んだのと、麻雀が趣味ってことで合致したまでだ」

私は思わず拍子抜けした。

赤司くんは本当に頭がいい……。

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