もしも緑間くんと恋をしたら
「みちるん!どういうこと?!説明して!あとアドレスも教えてっ!」

教室に戻って一発目。
挨拶もなしにさつきが、プンプンしながら私に近づいてきた。

「ご、ごめん……」

青峰くんが、プンプン怒るさつきを見ていたずらに笑っている。

「大ちゃんから聞いたよ!どうなってんの?!みどりんと何があったの?!それから、さっきもみどりんとこに行ってたでしょ?!ちゃんと説明して!」

「えっ……と。青峰くんに聞いてるでしょ?」

「ざっくりとしか言ってねぇよ」

青峰くんがそう言う。
なら、本当にざっくりとしか言ってないのだろう。

「昨日、緑間くんとデートした」

「うん」

「好きだって言った」

「えっ?!それで?!」

「向こうもそんな感じのこと言ってくれて」

「みどりんがっ?!」

「でも……そのあと修羅場が……」

と、昨日のことをちゃんと細かく説明した。
さつきは終始、すごいリアクションをしてた。
青峰くんがちょいちょい話に入ってきて、黒子くんが追いかけさせたとか、紫原くんに注意したとか何とか言ってくれて……。

「そんなことがあったんだぁー」

うーん、っとさつきが唸る。
その顔に青峰くんも不思議そうにしていた。

「どうしたんだよ、さつき」

「実はむっくんがね、みちるんと話したいって言ってきたの」

『えっ?!』『はぁ?!』

私も青峰くんも驚いて、声を上げてしまった。

「理由は聞いても教えてくれなかったんだけど、みちるんと話したいって言うから何かきっかけをって思って……まさかみどりんと良い感じになると思ってなかったから、驚いたよ」

さつきはうーんと唸りながら、人差し指を口元に当て、空を見ていた。

「それならあの修羅場は起きても仕方ない、ってやつか。ったく……」

青峰くんが溜息をつきながら、右手で頭を掻いた。

「どうしてみどちんなの?ってすごく訊いてくるの……断っても断っても……」

「お前に何の魅力があんだろうな」

困り果てる私に、青峰くんがからかうように茶化してきた。

「ちょっと!それどういう事?!」

「わりぃーわりぃー」

さつきに接点を持たせろと頼んだのは……まさかの紫原くんだったなんて……。

だから、あの日すごく親しみやすい感じで話してくれたのか。

でもただ話したいって言っただけなら、何故あの日さつきが見学させたのかまでは考えつかなかったってことかな。
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