もしも緑間くんと恋をしたら
その日も朝以降は緑間くんと話すことはなく、時間は過ぎた。
青峰くんやさつきとは同じクラスだから、何だかんだ話はしたけど、いい解決法は見当たらず……。

青峰くんなんて、寧ろ斉藤の何が良いんだってずっと私のことを茶化してきて話しにならないし……。

「さつき、ごめんね」

「何が?」

「あの二人のこと……」

「大丈夫だよー。みどりんはそんな喧嘩するような人じゃないし、むっくんはめんどくさがりだし」

そう言って、さつきは部活に向かってしまった。

「みちる、緑間くんが来てるよ」

さつきと青峰くんが行ってしまったあと、緑間くんが私に会いに来てくれた。

「緑間くん」

「美味しかったのだよ、ありがとう。バランスなど含めて、赤司も褒めていたのだよ」

と、照れくさそうに言いながら、お弁当箱を渡してくれた。

「こちらこそありがとう!部活頑張ってね」

「人事は尽くすのだよ」

バイバイ。
顔がニヤけて仕方ない。
何だか……本当に恋人みたい。

「みちるって、緑間くんと付き合ってるの?!」

クラスの女の子数人に、いきなりそう言われた。それって、どういうつもりで訊いてるのだろう。
本当に密かにモテてた……?

「その前に、なんでみんなそんな驚いた顔してるの?」

「あの堅物の緑間くんだよ?!」

「うん……」

「あの天才の緑間くんが、恋愛するなんて思えなくて!!」

そうか。
私も前はそう思ってた。
近寄り難い存在だもんね、緑間くんって。
カッコイイのに堅物で、女子なんて近付くなっていうオーラがすごく出てる。

「多分、付き合ってると思う」

私は、あやふやな返事をしてしまった。
実際、両想いでキスだってしたけど、付き合おうってことは言われてない。

「多分?」

「うん……好きって気持ちは伝え合ってるけど、まだ付き合おうって言われてない……」

「両想いってこと?!」

「一応……」

「みちるすごいなー」

クラスの子に羨ましがられて、何だか誇らしくなった。
あの緑間くんと両想いってだけでも、本当に奇跡だもの。

やっぱキセキの世代のメンバーって……みんな憧れられているんだろうな。

その緑間くんの彼女は、ただの麻雀好きの女だなんて。誰もしらない。

いや、それに紫原くんだって……。
自惚れてるわけじゃないけど、私、なんで急にモテ出したんだろう……。

青峰くんが言うのも無理ない。
私に何の魅力があるのか。

成績は平凡。運動神経も普通よりは上だけど、まぁそこそこのレベル。
外見は……さつきと並んでても劣らない程度で、やっぱさつきには負ける。
体型は……いや、体型もさつきには負けるけど、胸だってそこそこ。
要するに、さつきはモテる。普通に一般的にモテる。
でも、私がそこに並んでても、違和感はないはず。

ただ……私が男子と話す機会が少なかっただけ。帰宅部だし……。
何だかなぁ……。
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