もしも緑間くんと恋をしたら
私は、さつきと一緒にバスケ部のマネージャーをやらなかったことを少し後悔している。
麻雀の才能があろうというのに、馬鹿な後悔かもしれない。

さつきと一緒にマネージャーをやっていたら、何か変わっていたのかな。
もっと、もっと早く、私は緑間くんと親しくなれたのかな。
そもそも、キーホルダーの紐を変えただけなのに、緑間くんはどうして私なんか気にしてくれてたのかな。

恋というものは、いつどこで何が起こるか分からない。
本当にそう思う。

あんなに一緒にいるのに、さつきは青峰くんじゃなくて、黒子くんを好いている。

何が自分を動かすのかなんて、全然分からないことなんだろうな。

高校に入ったら、緑間くんは今よりもっとかっこ良くなって、女の子にモテまくるかもしれない。
女の子が苦手とはいえ、私みたいに強引に迫ってくる女の子がいるかもしれない。

そうなっても……彼は私を選んでくれるのだろうか。

私はそんな事を延々と考えながら、緑間くんとは違う時間を過ごしていた。

中学三年生も半分を切った。

どこに受験しよう。
そういう進路さえ見えてない。
この学力だ……。
緑間くんと同じ高校にはいけそうにない。
自分のやりたいことなんて、あやふや過ぎる。

そういう焦りか。
私はどうにも出来ない絶望感に浸っていた。
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