もしも緑間くんと恋をしたら
何故だろう。

バスケなんて興味なんてなかった。

見ることだってなかった。

でも、彼らのバスケに見入ってしまうのは、一体どうしてなのだろう。

そんなとき、私はある男子生徒を忘れていた。

いや、気付くのに遅れた……?

いつの間に黒子テツヤがいたのだろう……。

さつきが今追いかけてる男の子。
噂は聞いてるけど、本当に存在感薄い……。

あのさつきに迫られても、無表情なアイツはすごいと思ってたけど、それだけの感想だった。

なのに、なんだろう。

黒子くんの存在感は、このバスケ部には薄くない。寧ろ生かしているのか……。

さつきは、どうして彼のことが好きなのだろう。

そんなことを考えている矢先、私の方にボールが転がってきた。

それを取りに来たのが、紫原くん。

「あ……」

高いところから見下された私は足元に転がってきたボールを拾い上げ、紫原くんに渡した。

「はい!」

「あぁ……ありがと……」

紫原くんは受け取り、トボトボと練習に戻っていった。

あんなに大きい人が、子供みたいな口調をしてる。

それがおかしくて、可愛い。

個性的なメンバーが寄っている中でも、さつきは黒子くんが好きなんだな……。

好きな人さえいない私には羨ましいと、そんなことを考えながら気付けばバスケ部の練習は終わっていた。
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