もしも緑間くんと恋をしたら
体育館を片付け、さつきやメンバーが出てくる。

「お疲れ様!」

私はさつきにそう声をかけた。

最後まで見ているなんて、そんなことはお見通しだったと言わんばかりの笑顔をさつきに向けられる。

「みちるんもね!退屈だった?」

「楽しかったよ。見てるだけなのに」

私とさつきの歩く数歩後ろにキセキの世代のメンバーが、ぞろりとついてくる。

「このあと、寄り道していくけどみちるも来るよね?」

「え?」

「ハンバーガー食べに行くの」

「……いいよ、どうせ暇だし」

それで、みんな同じ方向に向かうのか。

「桃ちん、なんで見学しろって言ったのー?」

歩いてる途中で、紫原くんがさつきに訊いてきた。

「え、いや、その……」

私は恥ずかしくて、その理由を誤魔化そうとした。

「えー、バスケに興味ないからだよぉ」

(へ?)

やりたい事無いから、とか暇だから、とか言われると思っていただけに、私は拍子抜けした。

「興味ないのに見学させたのー?」

「でも、結局ずっと見てたんだから興味ないなんてウソだよ。食わず嫌いはダメだよ?みちるー?」

紫原くんとさつきに、連撃されたような感覚だ。

「確かに……食わず嫌いだったのかもしれない」

私は小声でそう言った。
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