もしも緑間くんと恋をしたら
「食わず嫌いはダメです」

予期せぬところからの声で、私はギョッとした。

「テツくんもそう思うよねぇ?」

さつきはすかさず、黒子くんの隣に行く。

あ、と歩くスピードを落とすと、お菓子を食べながら歩く紫原くんにぶつかった。

「あ……ごめん、見えなかったぁー……」

「あ、い、いや、私の方こそ」

……妙だ。妙にドキドキする。

見上げると彼は、無表情というか、お菓子以外には興味ないというか、そんな顔してまいう棒を食べている。

「斉藤だから、斉ちんでいいかなー?」

モゴモゴとお菓子を頬張りながら、紫原くんはそう言ってきた。

「えっ……と、うん、何でもいいよ」

慣れてないのだ。

男子生徒と話すことなんて。

さつきは黒子くんにアタックするのに必死で、こっちなんて見てもない。

紫原くんと会話する様を無言で見つめる緑間くんの視線が怖い。

緑間くんは警戒心が強そうだ。

食わず嫌いといえ、バスケに興味ないなんて言った私を軽蔑してるのかもしれない。
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