新撰組と神の護り手伝説

一旦この状況をまとめましょう。


あの謎の人物は僕に術をかけて病を治していた。一方で相手は元の僕の様な症状が出ていた。口から嫌な咳と血を吐いていた。


もしこれが自分を犠牲にした術だったら?
この部屋で術を使ったのはあの人だったら?







もし僕が考える通りだったとして、

あの人だったとして、何で僕達から逃げたの?


土「…あいつは何処だ。」



沖「………こっちが知りたいですよっ…。」


畳を睨みつけ胸の奥からの言葉を血の代わりに吐きつけると、土方さんは観念した様にやっと胸倉から手を外した。


土「細かい事は後で屯所で聞く。…帰るぞ。」


くるりと踵を返し背を向け呟いた土方さんの顔はいつもに増して翳りを見せていた。



部屋を出る直前土方さんはこちらを向かずに言葉を残し、そして出て行った。


土「お前また血を吐いただろう。口の横に血が付いているぞ。帰って話が終わったら療養しろ。」


口元をゴシゴシと擦ると確かに血が少し付いていた様で擦った手が少し赤くなった。



もう、療養はいらないみたいです。








僕は…。
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