新撰組と神の護り手伝説
『おい、那津!とりあえずお前の姉はお前の腕の所為で苦しい。』
那「あ、ごめんなさい。」
パッと那津は熱烈な抱擁を解くと話を切り出した。
那「吹悠、あの人斬り達の事を考えていたんですか?あんな集団、吹悠が身を切ってでも助けなくても良かったのに…。」
人斬り?
一瞬誰の事だかわからなくて、逡巡したがすぐに屯所の奴らが事だと分かった。
『人斬り…ね。そうだね。彼らは人斬りだ。人を斬ったという事実は消せないものだし消しちゃいけない。人の今も昔も未来も断ち切るという事だから。
でもね、彼奴らはンな事全部分かってる。分かってる上で敢えて斬って生きている。
何かを護るために、自分の信じる道を進んでいるんだ。』
那「誰かの道を踏み潰してでも?」
『罪のない人の道が踏み潰されないように踏み潰してるんだ。そしてその罪を全部自分たちで背負ってその身に責任を抱え込もうとしてるんだ、きっと。』
土方をはじめに全然鬼になりきれない人斬り達。
優し過ぎる。
甘過ぎる。
生き方がヒトくさ過ぎる。
中途半端な彼奴らは不安定だ。
『僕は、彼奴らが放っては置けないんだ。』
だから僕は胸に両手を当てそう囁くように自分の意思を胸の内から出した。