新撰組と神の護り手伝説
『し、失礼しました…。』
慌てて走って厨房の方へ戻る。
「アキちゃんそんな急いでどうしたの?」
『な、なんでもありません…‼︎』
びっくりした。
那津から妖気の抑え方と隠し方教わっといて本当良かった…。
一発でバレるとこだった。
というかなんで土方がいるんだよ!
早くやる事終わらせて帰る‼︎
与えられた自室に戻り、猫に変化した。
なぜ猫かというと、ここの城の主、松平容保が無類の猫好きさんらしい。
猫になると警備ザルに見えるね!
誰にも拒まれず容保さんのとこまで来ちゃったよ。はいはい、こんにちは護衛のお兄さん達、侵入者が通りますよ〜。
あ、侵入者とお殿様二人きりにしちゃっていいのかい?
容「おおっ猫さんか。」
『…いい歳して猫さんって呼ぶのか。』
呆れてつい突っ込む。すると、
容「喋る猫さんか!?初めて見たぞ‼︎」
うわーすっごいはしゃいでるよ。
驚くポイントがなんかズレてるしね。
まあいいや。本題。
『私は神の使いだ。容保公の猫への優しさに私の主は満足しておられる。そんな容保公に折り入ってお願いがあるのだが。』
容「私の力で出来るとこまで何でも言ってください‼︎」
ああ。こういう純粋な目、罪悪感でるなあ…。
『実は主は京にいるのだが、新撰組と京都守護職の諍いに少々困っておってな、我ら猫にも実害が出ておる。持ち場が被ってしまっているのだな。』
容「なるほど。私の不徳の致すところです。」
『だからな、新撰組を手放して欲しいのだ。』
容「なっ!?」
『私が去って次にこの部屋に来る少女に新撰組を譲って欲しい。必ずその子が何とかしてくれる。』
まあ、僕だけどね。
『経費も節約できるだろう。そうすれば上手く回るとも約束する。…ああ。タダでとは言わんよ。会津に雨を降らせようか。』
そう、今、日本中雨が少なく困っている藩が多い。江戸でもこの雨を降らせる提案は使えた。
容「猫さん‼︎ありがとうございます!」
『よーし。』
目をつむり集中して自分の中の妖力の渦をゆっくりと引き出した。
分厚い雲が会津を覆うイメージを強く思い浮かべる。そしてぎゅっと力を込め…
ザザザザザザザザザッ
成功!土砂降りの雨が降り始めた。