新撰組と神の護り手伝説
やる事は終わったので女中の仕事に戻った。
とりあえず大雨に喜びすぎて外まで出ちゃったという言い訳にした。
自分でも意味不明だと思う。この言い訳。
お姉さん方が怖いね!
激怒ォだったよ。
あー
妖力こんなに使ったの久しぶりすぎて泣ける程体が辛いわ。だって会津全土に大雨呼んだんだよ?
『ゴホッ…。』
咳も出るし今日は早く寝ないと。仕事仕事。
と頑張っていると女中のボスやってるおばあさんが声をかけてくれた。
「アキちゃん風邪?雨に当たり過ぎね。今日はもう上がっていいわよ。早く治して明日にでも埋め合わせしなさいね。」
神様!
でも、埋め合わせはしなくちゃダメなんですね。
ワカリマス。
『ありがとうございます。それでは失礼します。』
自室に向かって廊下を一人トボトボ歩く。
雨のせいで薄暗く、辺りは雨の降りしきる音と自分のひたひた歩く音しか聞こえない。
幽霊でも出そうだ。
強い妖気は感じないので出ないと思うけど…
その時。
ピカッゴロゴロゴロゴロ
思わずその場にしゃがみ込む。
やばいやばいやばいやばい。
幽霊じゃなくて雷出たよ!
まあ大雨降らせたら予想できたよね。
はい。ただの馬鹿でしたね。
ピカッ!
『……。』
今はお酒が入っていないから涙は出ないが、足が全く動かなくなってしまった。
あー女中さん達の誰かがしばらくすれば通りかかるだろうから、それまでの辛抱かな。
しゃがみこんで目を閉じ、耳をきつく塞ぐ。
するとドタドタと誰かが近くに駆け寄る気配がした。
『助かったあ…ちょっと動けないんでお手数ですが引きずって奥の女中部屋まで連れて行ってもらえませんか。』
耳から恐る恐る手を離し、目を塞いだまま気配の方へと伸ばす。
はあ、と深く溜息をつく声が聞こえ、本当に引きずられ始めた。
足を。
いや、手伸ばしたよね?
ちょっと痛いし服が汚れる。
『ちょ!待って!』
手で耳を塞げるのはありがたいけど、それはあんまりだ。
板張りから畳の感触を感じ、ぽいっと投げ出された地点で目を開け、一発、拳と文句を噛ませるべく立ち上がった。
『あの!引きずり方にも礼儀ってもんが!』
土「ねえな。この馬鹿。」
絶句。
頭が真っ白になった。