水晶の少年 ~SEASON~
★
あにき、
写真を米田(よねだ)の
おやじさんに
★
文面はそれだけ。
急いで送信したのか、
簡単な漢字すら、変換が追い付いていない。
「時雨、これって?」
固まる時雨は、今も固まったまま。
「由貴、時雨を頼む。
氷雨を探してくる」
そう言って、部屋を飛び出していく飛翔。
外は何時の間にか
雪がちらつき始めていた。
時雨もヨロヨロとふらつく
体を支えながら、絨毯から立ち上がる。
「時雨?」
「米田さんと連絡とらなきゃ」
そう言って、時雨は
リビングの方へと歩いて行く。
「時雨、米田さんって?」
私は中に一歩踏み込む覚悟で訪ねる。
「米田さんは親父の仕事上のパートナー」
そう言いながら、受話器を取ろうとしたとき、
ふいに自宅の電話がメロディーを鳴らす。
時雨は、ビクっと体を驚かせながら
受話器へと手を伸ばした。
「はいっ。
金城です」
電話に出た時雨の声に緊張が走る。
私もまた、受話器から零れる音を聞き取りたくて
息を飲むのも我慢して聞き耳をたてる。
「築城(つきしろ)警察……」
時雨が呟く、その言葉に
私は、真っ直ぐに時雨の目を捉える。
「母ですか?
お待ちください」
そう言うと時雨は保留音を押して
子機を持って、金城の小母さんがいる部屋へと移動した。