水晶の少年 ~SEASON~







あにき、
写真を米田(よねだ)の
おやじさんに








文面はそれだけ。



急いで送信したのか、
簡単な漢字すら、変換が追い付いていない。



「時雨、これって?」



固まる時雨は、今も固まったまま。




「由貴、時雨を頼む。

 氷雨を探してくる」




そう言って、部屋を飛び出していく飛翔。


外は何時の間にか
雪がちらつき始めていた。






時雨もヨロヨロとふらつく
体を支えながら、絨毯から立ち上がる。




「時雨?」

「米田さんと連絡とらなきゃ」



そう言って、時雨は
リビングの方へと歩いて行く。



「時雨、米田さんって?」


私は中に一歩踏み込む覚悟で訪ねる。



「米田さんは親父の仕事上のパートナー」



そう言いながら、受話器を取ろうとしたとき、
ふいに自宅の電話がメロディーを鳴らす。



時雨は、ビクっと体を驚かせながら
受話器へと手を伸ばした。




「はいっ。
 金城です」



電話に出た時雨の声に緊張が走る。



私もまた、受話器から零れる音を聞き取りたくて
息を飲むのも我慢して聞き耳をたてる。



「築城(つきしろ)警察……」



時雨が呟く、その言葉に
私は、真っ直ぐに時雨の目を捉える。



「母ですか?
 お待ちください」



そう言うと時雨は保留音を押して
子機を持って、金城の小母さんがいる部屋へと移動した。
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