恋に一番近くて遠い君

「でもぼーっとしてたのも最初のほうだけでいつも通りの美海に戻ってた。ちゃんと笑ってたし何か考え事をすることもなくなってた」



そう、いつも通りだったんだよ。
だけど…


「けど、俺が部活の先輩と何人か会って話してて、話し終わったあとに後夜祭で花火があるから移動しようとしてたら、美海が急に反対方向に走ってった。その時の美海たぶん、泣いてた」


下を向いててちゃんと顔見たわけじゃないけど声震えてたから



「美海泣いてたの?………先輩と何を話してた?」


先輩と?先輩との会話がなんか関係あるのか…?



「先輩とは普通に部活の話をしてただけだよ。あ、でも最後に…」


"そこの女の子って彼女?"
先輩にそう聞かれた。まぁ美海はよく部活の大会応援しに来ていたし、その度に先輩にも同じ学年のやつらにもよく言われてた。だからいつものように答えただけなんだけどな。



「美海のこと彼女なのかって聞かれた」


天良が少し驚いた様子だった。でもすぐに真剣な目で言った。


「その後なんて答えたの」



「彼女じゃない、ただの幼馴染みだ。って」



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