恋に一番近くて遠い君
一瞬で俺の理想が叶った。


美海も俺のことが好き


俺は全身の力が抜けていく感じがした。


「美海もねずーっと前から陸玖のこと好きだったよ。それなのに二人とも鈍感で二人とも幼馴染みって関係から一歩も踏み出そうとしなかった」


天良は全部見抜いてたのか。



「ほら、今こそ伝えるべきなんじゃないの?」



「でも、俺あんな事言って美海を傷つけた。もし告白しても信じてもらえないんじゃ」



すると美海が両手で俺の両腕をがしっと掴んで



「なんで逃げるの!?2人は両思いなんだよ!?2人がいつまでもそのままだと、2人が思いを伝えないと私は!!」


怒り?違う。悲しみ?いや分からない。けど天良がこんなに感情的に大きな声を出す事は初めてで。


言葉を止めた天良は力をなくしたように俺の腕から手を離して二、三歩後ろに下がった。


そして顔を上げた天良はさっきの勢いとは正反対のとても穏やかな笑顔で微笑んでいた。



「大丈夫、今からでも間に合う。告白しておいでよ。美海ならたぶん屋上じゃない?今まで逃げていた分しっかり向き合ってきなよ」



今日言わなかったらたぶんずっとすれ違ったままだ。言わなきゃ、今までのように逃げていてはダメだ。

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